高温に強くて美味しい
兵庫のお米「コ・ノ・ホ・シ」。
温暖化が進む兵庫県でも育てられる、高温に強くて美味しいお米を―そんな想いのもと、2016年に兵庫県とJA グループ兵庫のタッグによる新品種の開発プロジェクトがスタート。一般的に「お米の開発には14年の歳月がかかる」と言われていますが、キヌヒカリに代わる暑さに強いオリジナル品種の開発が急務だったため、兵庫県では異例の9 年という短期間で開発が進められました。そしていくつもの試練を乗り越え、ついに2025年10月に暑さに強く味も美味しい新品種「コ・ノ・ホ・シ」としてデビュー。県内各地で栽培が始まります。

10,000種から選ばれた
コ・ノ・ホ・シの軌跡
まずは、交配という異なる品種を組み合わせて新しい品種をつくる工程からスタート。コ・ノ・ホ・シの場合、毎年10 組の種類を交配しました。その後は、親の持つ特長を子どもに定着させる「固定」という作業へ。このプロジェクトでは、品質を安定させるために5 回も固定を繰り返しました。こうして誕生した数は、なんと10,000種類。この中から、暑さに強くて美味しい品種を選んでいく「選抜」という工程に進み穂が出るタイミングや稲の大きさ・形、病気への耐性など、開発者がーつひとつ目視と触手、さらに専用機で検査をして厳選しました
コ・ノ・ホ・シの開発過程での大きな特徴は、ガラス温室での育種。室内の温度と連動して暖房がついたり窓を開閉できたりするなど、炎天下を自動で生み出すガラス温室は、27度以上の高温環境を維持できるため、コ・ノ・ホ・シが本当に暑さに強い品種かどうかを見極めることができました。
品質評価も大切な工程のひとつ。まず、食味計による理化学分析で美味しさを可視化し、その後は実際に試食して評価する食味官能調査を行いました。この調査には、研究員やJA グループ兵庫の職員、卸売業者など、お米の専門家たちが参加。加えて「一般財団法人日本穀物検定協会」に在籍する食味評価のプロにも評価してもらいました。最終段階では、兵庫県内のほ場で現地試験を実施。収穫量や品質などを評価し、農家の声を踏まえながらプロジェクトメンバーが様々な角度から検証を行いました。その結果、最も優れた品種として選ばれたのがコ・ノ・ホ・シなのです。


